Souvenir / ej自身による作品解説(訳)

出典: 14/12/2002
copyright: ericjohnson.com, 2002
「日本語文責: 山巻 由美子」

このinterviewは、EJ-Lで不定期に行なわれるものです。ej-jpがPark Streetの許可を得て翻訳/配信します。従って配信/引用等は、固くお断り致します。なお、日本語文責は、山巻 由美子が負っています。



Get to Go
この曲は、つい数年前に作り始めたものです。自宅で、ほんの楽しみのために、4トラックのカセットデッキに録りました。
1930 年代製Nationalのメタルボディのギターで弾いて、ピアノをちょっと加え、それから、非常にファンキーな(!)マイクでリードヴォーカルを入れました。曲の方をやりながら歌詞も作っていった訳ですが、内容は、人生は短く、じっとしていたらすぐ終わってしまうので、頑張って進んでいく必要があるのだ、というものです。
最近になって、この曲を収録することに決めた際、Tommy Taylor (ds)とKyle Brock(b)に頼んで、スタジオに来てプレイしてもらうことにしました。
カセットテープ(信じ難い!)をスタジオのマルチトラックに移し替え、Tommy、Kyle、私の3人はそのテープにライヴ録音でかぶせて行きます。その後私は更にギターを加え、バックヴォーカルも入れました。
アンプは、ちょっと変わった効果を得ようと思ったので、ちっぽけな古い50年代のものを使っています。
私達が一緒にプレイするのは本当に久しぶりのことで、楽しかったです。3人でもう1曲録音したので、次のスタジオアルバムに収録するつもりでいます。

Space of Clouds
この得体の知れない曲は、実は3曲目の「Paperback Writer」を録音した同じ時に録ったジャムなのです。
この曲では、ドラムズのTommyとベースのReggie Wittyがフィーチャーされています。「Paperback Writer」の録音を開始する前に、単に楽しくプレイしました。
今回の収録に当たって、私がシンセサイザートラックを足しました。私版のPink Floydという訳です!(この曲がナンバーワンヒットになるなんてことがあるかな?)

Paperback Writer
この曲をずっと愛してきました。私はGeorge Harrisonのギターパートや彼の使うトーンを、丹念に研究しています。Tommyと Reggieと私は、ツアー中、この曲を定番としてよくプレイしたものでした。Tommyの天賦のヴォーカルの才と、Reggieの美声のおかげです。
この録音では、二人の、ドラムズとベース同様に見事なハーモニーが聴き物です。録音は80年代後半。最後の部分のノン・フランジのリードギターは、最近加えました。

Forever Yours
1980年代、私はテキサス州オースティンにあるWillie Nelson のOpera Houseで、練習室をひとつ借りていました。長年に亘ってその部屋でリハーサルを行なっていたので、もう第二の自宅のようなものでした。80年代末に向けて、それはSaucer Soundの原型になったのです。私達は、その部屋を「スタジオセヴン(Studio Seven)」と呼んでいました。ドアに大きく7と書かれていたからです(アルバムに載っている写真などでご覧になれるかも知れません)。
「Forever Yours」 は、当時手に入れたばかりの8トラックテーププレイヤーで録音したものの内、初期の曲のひとつです。Tommy Taylorのパーカッションと私のナイロン弦ギターとヴォーカルをフィーチャーしたものになっています。
 *Saucer Sound: EJ自身のスタジオ

Hard Times
この曲も、Opera Houseの練習室「スタジオ・セヴン」から生まれたものです。Tommy Taylorのドラムズ、Reggie Wittyのハーモニーヴォーカル、Steve Barberが時折入れるシンセがフィーチャーされています。
録音は、これも80年代後半で、元はアルバム「Ah Via Musicom」用の曲を練り上げるプリ・プロダクションのセッションの一部でした。このデモ・セッションの時に、「Forty Mile Town」、「Nothing Can Keep Me From You」、それにこのCDに収録した「Virginia」を録音しました。

Climbing from Inside
90年代初めに、制作中のある映画に一曲進呈してくれないかという依頼がありました。ロサンジェルスでそのプロデューサに会い、それからオースティンに帰って曲を書きました。いささか自然に任せた構成で、結果はこの曲を聴いての通りです。結局映画の方は出来上がることなく、従ってこの曲も私のテープ保管室にお蔵入りとなりました。
今回リミックスは施してありますが、それ以外は録音時のままです。アコースティックギターを弾き、エレクトリックギターを少しかぶせて、それから歌を唄いました。

I'm Finding You
Rob Alexanderに初めて会ったのは1981年のことですが、ベースプレイのみならず、彼の素晴らしいヴォーカルスタイルがとても印象的でした。1982年に、私達はThe Avenueというグループを結成します。Robがベースと多様なヴォーカル、Steve Meadorがドラムズでした。
このトラックは、初めてRobと一緒に録音セッションをした時のものです。Robはベースに加え、リードヴォーカルを担当。私はアコースティックギターを弾き、曲の中間部にはエレクトリックギターをかぶせています。
丁度書いたばかりの曲を、私の4トラックのオープンリールデッキで録音しました。今回収録しているのは、その時のままの録音です。後に、Austin City Limitsショウに初出演した時、この曲を演奏しました。1984年のことです。
この曲をプロ仕様で録音し直すことは全くしませんでした。曲も、 Robが曲にもたらすものも、とても気に入っていますけれど。

Paladin
つい最近、この曲の名前を思いつきました。西部の雰囲気があるし、子供の頃好きだったテレビの西部劇の主人公がPaladinというので。
曲の方は、元々は1974年に4トラックのオープンリールデッキで録音したもので、このCD収録作品の中でも一番古い部類に入ります。元はこの曲をTabla Songと呼んでいました。
パーカッショニストのLarry Crooksが最後の方でタブラをプレイしているからなのですが、粗末な録音だったため、残念ながらよく聞こえないのです。私はアコースティックギターを弾き、それからラップスティールギターをかぶせました。
 *Paladin: この場合、米国のTVシリーズHave Gun Will Travelの主人公
 *タブラ: インドの小太鼓

Fanfare One

この曲が、今回の中で一番古いと思います。録音は1973年に遡るのです。新しく手に入れた4トラックのレコーダー(当時の私にとっては非常に大きな買い物!)で遊んでいた訳です。
父が、医学雑誌の講義の入った古いオープンリールテープを持っていて、私の録音実験用に、そのテープを一杯くれました。そのレクチャーの逆回しが、ちょっぴり聞こえます。それ以外のところはフィードバックとディストーションを使ったエレクトリックギターです。

Virginia
これはアルバム「Ah Via Musicom」のプリ・プロダクション からのアウトテイクです。Opera Houseの練習室「スタジオ・セヴン」で、TommyとReggieと録音しました。1980年代後半、「Ah Via Musicom」に取りかかる直前のことです。よりによって自分のギターのことを唄った、かなりバカバカしい曲です!ここでは Steve Barberがシンセを弾いています。

A Memory I Have
これは1980年代前半、Richard Mullenと初めて一緒にやった録音です。あるスタジオセッションで、Richardはエンジニアとして雇われており、私は私でセッションギタリストとして契約がありました。
誰のセッションだったかは思い出せません。その当時は、雇われギタリストとして生計を立てており、非常に沢山のスタジオセッションをしていたからです。
ともあれ、そのセッションが終わる頃にはRichardと懇意になっていた私は、彼が得るギターサウンドが素晴らしいと評しました。
セッションが終了し、皆が帰ってしまうと、私達はこの曲を一発録りしたのです。2トラックのアナログ機で、ライヴ録音でした。という訳で曲名は、その思い出のことなのです。

Dusty
この曲も今回のアルバムの中では最古のひとつで、確かソロアーティストとして最初のギグの最初のセットで一番初めに演奏した曲だったと思います。
会場のコンソールで録った単なるテープからのもので、録音は1976年。その年テキサス州オースティンのSymphony Squareでショウに出演することになり、引き続き、夏の間同じ場所で何回かのショウをしました。これはその最初の時のものです。
後で使うつもりは全くなかったのですが、Richardが面白いと考えたので、ここに収録することにしました。夕刻の演奏だったので、注意して聴くとバックに鳥のさえずりが聞こえます。
 *鳥のさえずり: Symphony Squareが野外演奏会場であるため